最後に祈りを  作:癸 洲亜

暖かい陽光降り注ぐ青空の下

貴方のところは、もう桜は咲きましたでしょうか



多忙になり始めた日々の中で

ふと、貴方のことを思い出すときがありました

貴方と交わした他愛のない会話を思い出すときがありました

それだけで、少しだけ心が軽くなりました

私にとって、貴方は心の支えでした

これまで、貴方にはいろんなものを頂きました

ですが、私は貴方に何もしてあげられませんでした



今の私は

決して戻りはしない過去にすがってばかり

前まで明るく晴れていた私の心も

今となっては暗く、懺悔と後悔ばかり



あの日あの時に、この想いを貴方に伝えていなければ

今もまだ貴方は友達で

今もまだ貴方は私の名前を呼んでくれたでしょうか

そんなことすら今の私にはわからなくなりました



愛しき人よ

私はもう貴方にすがるのは止めましょう

だから、もう、さようなら



でも

でも、最後に一つだけ、我が儘を

一つだけ、願わせてください

『どうか、これから先も貴方様が幸せでいられますように――』



暖かい陽光降り注ぐ青空の下

貴方のところは、もう桜は咲きましたでしょうか

私のところは、まだ桜は咲きません


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