Doors of Destiny ~運命の扉~ [2] 作:因幡ノ白兎
「着いたよ。ここが私達が住んでいる村、『Rerun』だよ。」
日本の村とかは最後に村が付くのが多いはずだが、ここでは違うようだ。村の名前が読めない人の為に。この村の名前は『リラン』。そういえば、この名前、なんかのアニメで聞き覚えがあるような......。でも、そんな事気にしなーい。
「なぁ、レム。リランってどういう意味だ?」
一応聞いてみる。
「光って意味。この村の村長が決めたの。」
「もう一つ聞いていいか?」
「?」
「村の人達の肩に乗ってたりするのって、みんなペットなのか?」
「んー.....。ペットって訳じゃないけど......。まぁ、そんなとこ。その辺は後で説明するよ。」
「それはレムも持ってるのか?」
急にレムが立ち止まる。前方を見ると、柄の悪そうな奴が2人暴れてる。レムが小さく、
「持ってるよ。......今見せるからちょっと待ってて。」
と言って、柄の悪そうな2人の男に近寄る。俺は、止めなかった。レムから凄い威圧感を感じただからだ。
「貴方達、この村で暴れるのは止めてほしいんだけど。」
「あぁ!?なんだてめぇは?」
「俺らの邪魔しようなんていい度胸じゃねぇか、お嬢ちゃん。名前、聞いとこうか。」
「貴方達に名乗る必要なんてないわ。早くこの村から出ていきなさい。そして、もう二度とこの村に来ない事。」
「いい気になるなよガキが.....。俺らはてめぇみたいなガキでも手加減しねぇぞ!いくぞ弟!」
「はかってますよ、兄貴。ビビられてやるぜ!」
男達はサソリと毒蛇を出現させた。そのサソリと毒蛇は男達の武器に変化した。兄の方はサソリの毒が染み込んでいるランス。弟は太刀。
「なんだ.....あれ....?」
俺は何が何だか分からなかった。だが、一つ分かった。このままでは、レムが危ない事が。しかし、
「あははは。その程度の使い魔で私を倒せるって?笑わせるわ。見せてあげる.....。貴方達と私の力の差を。」
と言った。レムは魔法陣を出現させた。
「我が使い魔よ、主に力を与えよ。出ておいで!九尾!」
すると、魔法陣から何かが飛びたした。それは、白い狐だった。普通の狐ではない。尻尾が9本生えているのだ。
「さぁ、この愚か者達に力の差を見せるわよ。いくよ、九尾。」
<はい、我が主。>
そして、レムと白い狐、九尾の周りに魔法陣が出現し、さらに、青白い炎が1人と1匹を包んだ。
青白い炎が消えて、レムが姿を表した。その両手には松明のような物を持っていた。
「なんだありゃ?ただの松明じゃねぇか。」
「兄貴、あいつさっさと殺ってしまいましょう。」
「そうだな、大技で決めるぞ!!」
そして、技を繰り出してくる。
「サソリの毒槍で、てめぇの体に風穴開けてやるぜ。ポイズンパッシュ!」
「毒蛇の毒太刀で、てめぇの体を引き裂いてやるぜ。ヴェノムスラッシュ!」
2人がレムに攻撃を仕掛ける。が、
「..........カテクト....。」
ガキーーーーーーン!!!!!
レムがカテクトという防御魔法を使い、攻撃を防いだ。
「甘いわね、貴方達。今度はこっちから行かせてもらうわよ!」
2人の武器を弾き、すぐさま反撃を開始する。
「命尽きるまで踊れ。ナパーム。」
松明を振り、青白い炎の球を飛ばす。その球は見事に男達に当たる。男達の体が燃え出す。すぐに水をかけるが、火は消えない。
「な、なぜ火が消えない!?」
「兄貴!熱いっすよ!」
「その火が燃えたら最後、私が九尾の能力を解かない限り燃え続ける。それがこの武器、ナパームの能力。」
「わ、分かった。もうこの村には来ない!約束する!だから助けてくれ!」
レムは少し考え、九尾の能力を解いた。
炎が消えた瞬間に、弟の方が素早く逃げ出す。
「あいつがヤバイ奴らと連んでたら、あとが厄介ね。九尾、頼むわ。」
<.....御意。>
すると、九尾が光だし、段々大きくなっていった。光が消えた瞬間飛び上がり技を繰り出す。
<我が力は主の刃。焼き尽くす炎が刃となり、敵を討つ。烈火斬撃!>
尻尾から9個の炎の斬撃が放たれる。それは弟に命中する。重傷だが、死んではいない。
<手加減しておいた....。あまり我が主を見くびらない事だ。>
白、いや、白銀に輝いていた九尾は、元の白い狐に戻る。
「お疲れ様。ゆっくり休んで。」
<主もお見事で御座いました。また、いつでも、御呼び下さい。>
そして九尾は、魔法陣の中に戻ってゆく。戻る瞬間、九尾はこちらを睨んだ。
「.........!!」
俺は動く事が出来なかった。レムがこちらを見つめてる。
「大丈夫、タクミ?」
「あ、あぁ。レム、今のは一体何なんだ?」
「とりあえず、村長のところに行こう。行きながら話すよ。」
そう言って村長のところに歩き始めた。
「さっきのは使い魔。使い魔は誰でも持ってる。」
「誰でもって、俺も?」
「そう、タクミも。ただ、人はその事に気づかずに一生を終えてしまう。でも、タクミには意地でも眠っている使い魔の力を引き出してもらうからね。」
「え?なんで?その力を手に入れないといけない理由でもあるのか?」
「うん。実は、この国は今、歪み始めている。3つの秘宝に悪しき魂が宿り始めたからなの。その秘宝のある場所は分かってる。でも、その力はあまりにも強大で、私達だけじゃなんとか出来ないの。でね、10年に1度、この世界を救ってくれる救世主が現れるって言い伝えがあったの。それで今日がその日で、タクミは今日、突然来た。つまり、タクミは私達の救世主って事。だから、意地でも使い魔を呼び覚ます必要があるの。お分かり?」
「事情は分かった。でも俺には.......」
「あー!!分かった!お礼が欲しいんでしょ?でも大丈夫。言い伝えだと、3つの秘宝を集めた者は、願いを一つ叶えてもらう事が出来るの。3つの秘宝の悪しき魂を倒した暁にはその願い事の権利、タクミにあげるよ。」
「.....!! それ、本当だな....?」
「本当。どうする?やる気になった?」
「あぁ!やってやるぜ!」
「んじゃ、交渉成立ね。これから宜しく〜、タクミ。」
「こちらこそ宜しくな、レム。」
どうやら、使い魔ってのは、運命を変えるには必須らしい。とりあえず、村長のところに行くことにしよう。全てはそこからだ。
「ここが、村長の家だよ。」
中に入ると、そこにはいかにも村長って感じの人がいた。
「長、今戻りました。言い伝え通り、救世主様がいらっしゃいました。」
「おぉ、よくぞ来られた。さぁ、座りなさい。」
「あ、はい、失礼します。」
「レムも御苦労だったな。少し休みなさい。」
「いいえ、長。私にはやる事があります。救世主様のお話だと、救世主様は別の世界からやってこられたそうです。ですから、使い魔をお持ちになっておりません。ですが、眠っている使い魔を呼び覚ます事が出来さえすればいいのです。その役目を、私目に任せて頂きたいのです。」
「うむ、いいだろう。レム、お前に任せよう。」
「ありがとう御座います。」
「救世主様、このレムから話は聞かれましたかな。」
「はい、聞きました。」
「ならば話が早い。再度問わせてもらいます。我々に協力してくださいますか?やっていただけるのなら、願い事の権利を救世主様に与えましょう。どうですかな?」
「分かりました、村長さん。やらせて頂きます。」
「おぉ、心強い。では、明日から使い魔を呼び覚ましていただきます。レムもそれでいいかな?」
「分かりました。明日から頑張りたいと思います。」
「分かりました、長。必ず呼び覚ましてみせます。」
こうして、不思議な世界の冒険が始まろうとしていた。
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