Doors of Destiny ~運命の扉~ [1]  作:因幡ノ白兎

この世界には、別の次元がある。自分の世界とは違うもう一つの世界、例えるなら、異次元やパラレルワールドといったものだ。
今から語られる物語は、一人の少年がもう一つの世界を旅し、運命を変える物語である.....。


「よーし。授業も終ったことだし、部活でも行くかな。」
俺は真城匠。中学三年でハンドボール部に入っていて、平凡な毎日を過ごしているどこにでもいる普通の中学生だ。
「おーい!匠ー!!」
「ん?よう、智一じゃねぇか。どうした?」
こいつは轟智一。ハンドボール部に入っている同級生の友達だ。
「お前、今日部活来るんだよな?」
「あぁ。行くけど、なんで?」
「んじゃ、いつものやろうぜ!でも今回は俺がキーパーな!」
いつものってのはサッカーでいうPKみたいなもの。
「いいぜ。でも、勝てるかなー?」
「勝つ!」
そんな話をしながら部活に行った。


部活が終わってからPKをやるのが普通。さすがに部活中は.....。
「手加減しねぇぞ智一。」
「全部止めてやるぜ。」
PKが始まる。俺は全力で投げる。智一に止められずゴールへ。二球目も全力で投げる。が智一に止められてしまう。という、ループが発生する。
「やるなぁ、智一。」
「さすがエースの投げる球だ。取るにも一苦労だぜ。」
そして俺は最後の力を振り絞り投げようとする。とその時!!
(タ........タス........... ケ............テ........)
「え?誰だ?」
智一が何か言っているようだが何も聞こえない。聞こえるのは脳の中に響いてきた声だけだった。
声の方に行ってみる。道路に小さなカギが落ちているのに気づき、行ってみる。
小さなカギを手に取ってみる。金色に光る小さなカギだった。
カギを手にした瞬間、周りの音が聞こえてきた。
「匠!!早く逃げろ!!」
智一にそう言われて横を振り向く。木がこちらに倒れてきた。さすがにハンドボール部だとしても、避けれない。
ドシーーーーーン!!!!!
木が倒れてきた。だが、痛みがない。閉じていた目を覚ます。匠がいた場所に智一が倒れていた。
「智一!!」
智一に駆け寄る。近くの人に手伝ってもらい、木を退ける。
智一は病院に運ばれた。手術の結果、命に別条はないらしい。が、足が骨折していたらしい。
治るのにも三ヵ月は安静にしていなくてはいけない。匠は自分を責めた。もし、あの時注意してれば、あんな事にはならなかった。木が倒れてきた原因は車の事故だけど、智一が怪我した原因は俺だ。
とりあえず、家に帰る事にした。家に到着すると、妹が待っていた。
「おかえり、お兄ちゃん。ご飯作っておいたからね。」
こいつは真城琴葉。俺の妹であり、猷逸の家族である。両親は5年前に事故で死んだ。
「ありがとう、琴葉。お前にばっかりにすまないな。」
「ううん、大丈夫。それに、お父さんとお母さんが死んじゃって一番悲しんでるのはお兄ちゃんだもん。私はその頃まだ小さかったから、あんまりお父さんとお母さんの顔覚えてないし、お兄ちゃんにだけに無理はさせたくないから。」
琴葉は笑顔でそう言う。

食事を終え、部屋に戻るとPCの画面が光っている。メールがきていた。メールを開いてみる。そこには、
『貴方は、運命を変えたいですか?』と書かれていた。
「!! これって.......一体.......。」
ハイかイイエの選択肢がある。妙だと思いながらハイをクリックする。すると、メールが届く。
『貴方の意思は分かりました。では、貴方の持っている金色のカギに書いてある番号を入力して下さい。』
金色のカギを見てみる。そこには『1010』という四桁の数字があった。それを入力する。決定ボタンを押した。その瞬間!!
景色は一気に変わり目の前には鎖で繋がれている大きな扉があった。
「..........っ!!! 一体どうなってるんだ?ここは......?」
それに答えるように、心の中に声が聞こえてくる。
(汝はこの扉を開ける権利がある。この扉の中に入り運命を変えてくるが良い。ただし、それには代償を払ってもらう。)
扉の上の部分に見にくいが『Doors of Destiny』と書いてある。日本語に直すと運命の扉。
「どんな代償を払わなきゃならない?」
(汝の一番大切にしている物だ。)
「俺の一番大切な物?」
少し考えてみる。答えを決めていう準備ができた。
「本当に、運命を変えられるんだな?」
(無論。さぁ、代償にする物を言え。)
「............俺の.....俺の命を代償にする。」
(良かろう。だが、条件が少々変わる。本来なら扉の向こうで死ぬ事はない。が、汝は汝の命を代償にすると言った。その場合、扉の向こうで死んだら最後、汝は現実で死んだ事になる。それでも信念は変わらんというなら、カギを差し込み、扉を開け、中に入るがいい。)
俺はカギを差し込んだ。その瞬間、鎖は外れ、運命の扉が開け放たれた。
「智一.......。待ってろよ。」


頭が痛い。誰かが俺を起こそうとして呼んだり、体を揺すったりしている。俺は目を覚ます。
「あ。やっと目が覚めたんだね。こんな所で倒れてるから死んでるかと思ったけど、大丈夫そうだね。」
目の前にいたのは、幼い女の子だった。小学5、6年生くらいの年だろうか.....。だが、気になった事があった。その女の子には尻尾が生えているのだ。それと、犬のような耳をしている。二次創作でいう擬人化というものなのか?
「えーと、君が俺を見つけてくれたみたいだね。ありがとう。ところで、君、何者?犬?」
「失礼ねぇ!私は狐よ!そんなの見てわかるでしょ!?」
「あー、うん。ゴメン。」
「うんうん。分かればいいのよ分かれば。」
少女が笑う。正直、マジで可愛いと思ってしまった。一応言っておくが、俺はロ◯コンじゃないから。
「ところで君、名前は?」
「俺は真城匠。匠でいいよ。」
「タクミ......。変わった名前ね。私は.......レムよ。」
「宜しくレム。いきなりで悪いんだけど、ここどこなんだ?」
「ここはミーリア国のクレイム地方だよ。村まで近いし、今日はそこで泊まるといいわ。」
「そうさせてもらうかな。」
いきなり意味が分からないけど、とにかくここは、日本、いや、世界のどこにもないところって事は分かった。ここで、運命を変えられるらしいけど一体どうすればいいんだろう.....。まぁ、まずは休む事を考えよう。






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