夢幻  作:詩人


いつから、そこにいたのだろう。

いつから、ずっと上を眺めていたのだろう。

いつから、私は叶わない思いを持っていたのだろう。




どうして、蝉は地面から出たいと願ったのだろう。

どうして、海亀は大海へ向かうことを願ったのだろう。

どうして、私は貴方といることを願ったのだろう。




ただ、皆と同じことがしたかった。

ただ、普通に生きていたかった。

ただ、貴方と一緒に居たかった。




少しだけ、貴方と居れた。

少しだけ、貴方と喋れた。

少しだけ、笑っていられた。




叶わない願いを、いくつ持っていただろう。

叶わない願いを、いつまで持っていただろう。

そして、その願いを、いつ諦めたのだろう。




何もかもが、遠く、遠く離れていく。

ここの景色も、貴方の顔も。

だけど、願いはひとつだけ、叶った。




でも、もう二度と会うことは無い。

もう、あの笑顔を見ることは出来ない。

ただ、最後にひとつ、願いが叶うのなら・・・。







・・・これが、夢であればいいのに・・・。




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