MHストーリー『牙を剥く世界』前編  作:因幡ノ白兎

「う.........うーん.....。」
私は眠りから覚めた。周りを見回す。自分の部屋ではない。やはり、トリップしたみたいだ。
「あら、おはよう、かがみちゃん。」
この人はこなたのお母さん。
「おはようございます。こなた、起こして来ましょうか?」
「じゃあ、お願いするわ。」
そして、こなたの部屋へ。
「おーい、起きろー。朝だぞ。」
「.....うーん......、おはよう......かがみ。」
「おはよう、こなた。」
こなたと一緒に朝食をとった。朝食後、こなたは二度寝を決意。私は、散歩に行くことにした。その時、
「あ、かがみちゃん。」
と、声をかけられる。
「かがみちゃん、体はもう大丈夫?」
この人は、道具屋のひよりさん。実は昨日、少し喋ったのだ。
「えぇ、お陰さまで。」
「それは良かった。何か困った事があれば何でも聞いていいからね。」
「ありがとうございます。あ、私を助けたのってこなたなんですよね?」
「えぇ。それと、つかさちゃんもいたっけなぁ。」
「え?つ.....つかさ......!?」
「あの.....そのつかさって.....今どこにいます?」
「きっとアイルーキッチンにいると思うよ。」
場所を教えてもらい、行ってみることに。

アイルーキッチンに着くと凄い物が目に飛び込んで来た。
「いらっしゃいませニャー」
なんと、アイルーキッチンで働いているのは猫だった。その猫が二足歩行で歩き、喋りかけてくるのだ。
「うわぁ!!しゃ、喋った!!」その時、
「あれ?お客さん?」
「いらっしゃいませ〜。あれ?体はもう大丈夫なの?」
「うん。もう大丈夫。」
「私はつかさだよ。あなたは?」
「私はかがみ。よろしくね、つかさ。」
「よろしくね、かがみちゃん。」
「ねぇ、つかさ。あの猫もモンスターなの?」
「あれはアイルー。ちゃんとしたモンスターだよ。そうだ、モンスターの事が知りたいなら図鑑みる?」
「うん。ありがとう、つかさ。」

アイルーキッチン2階。この部屋がつかさ部屋らしい。
つかさはモンスターの図鑑を見せてくれた。
この図鑑のせいで、この世界に対する私の価値観は大きく変化することになる。
「.......どうして....どうして人間の姿がこんなにも小さいんだ....。」
人間が小さいんじゃない....。周りに描かれているモンスターがデカ過ぎるんだ。
「見て、かがみちゃん。これが私達『人』だよ。ここには大きさの比例のために書かれているだけだけど。」
まさか.....こんな大きさで人間.....!?この図はどこかがおかしい....。あまりにも私の常識をからかけ離れている....!つかさは生き生きとモンスターを紹介してゆく。リオレウスやグラビモス、そしてラオシャンロン。どのモンスターも私の予想を遥かに超えていた。
.......怖い。この世界は危険過ぎる!こんなところにいられない。一刻も早く帰りたい。急がないと命を落とすことになる.....!さっきまで生き生きと話していたつかさが急に暗い顔をして話し出す。この時私は、聞かなければ良かったと思った。
「今から10年くらい前の話になんだけどね。私のお父さんとお母さん.....、実は、モンスターに殺されちゃったの。」
「................っ!?」
「私が8歳の時、ちょっとした理由があって家族全員でドンドルマの街に行くことになったんだ。私の家族と護衛のハンターで行った時、アイツが襲ってきたの。私の両親を殺した奴の名前は---- 轟竜 ティガレックス....。絶対強者と言われている飛竜種だよ。性格は強暴。他のモンスターは決して近づこうとしない。」
「護衛のハンターも一緒って言ってたよね.....?それでも殺されちゃったの?」
「うん。私以外はみんな......。」
「そ、そんな.....!!」
「モンスターに殺されるなんてよくある事だよ。」
.......なにも言えなかった。
「このポッケ村から出るつもりはないよ。だって、またお出かけなんてしたら今度こそ死んじゃうかもしれないからね。」
「え.....どういうこと?」
「かがみちゃんも、1人で村の外に出ちゃだめだよ。ちゃんとハンターズギルドに依頼して、護衛をつけてもらって。でも、完全に信用しちゃダメ。結局、自分の命を守れるのは自分自身なんだから。」
つかさの表情が..........冷たい....。
「悪い事は言わないよ。かがみちゃんもポッケ村に住めばいい。この村なら安心だから。じゃないと------」
「-------死んじゃうよ?」
つかさの目が、生き生きとしていた目が、まるで魂を抜かれた人間のような目をしていた。
私は......、しばらく、その場から動けなかった......。


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