君の為なら [完] 作:因幡ノ白兎
レオはジンを睨みつけ、こう言った。
「てめぇだけは許さねぇ。リーレを傷つけ、さらには、無関係のパーネまで.....。俺はもう、てめぇをぶっ飛ばさねぇと気がすまなぇ!!」
「だからなんだと言うんだ。リーレは生贄で、そこの女は天使。傷つくのは当たり前だ。」
「変えてみせる。そんな間違った理屈は変えてみせる!」
レオは剣を握り締め、ジンに突っ込んだ。だが、ジンは持っていた剣でそれを受け止める。
「変えるだと?ふっ....、くだらない。貴様一人で何が出来る?俺に勝てない弱い存在がデカい事を軽々と口にするんじゃねぇ!!」
レオの剣を弾き、ジンはレオに斬りかかろうとした。その時!!
キンッ!!
ジンの剣が止められた。
「なんだと!!貴様の傷はそう簡単に治らないはずだ!!なぜ、立ち上がる!?」
レオの目の前にいるのは、まだ傷が回復していないパーネだった。
「レオは......、一人でなんかじゃ.....ない。私達がいる。あんたが何処の誰だか知らないけど、レオはあんたなんかに......負けない!!」
「パ、パーネ」
パーネの双剣がジンの剣を弾いた。
「なぜだ、なぜこんな奴に俺の剣が負けるんだ....。なぜだ!!」
それに答えたのはリーレだった。
「それはね、貴方が一人で戦っているから。一つ教えてあげる。強さっていうのは、力だけじゃないわ。人を大切に想うことも強さよ。」
リーレはジンに向かって詠唱を始めた。
「光と闇が交差する時、その力は、天から降り注ぐ。」
魔界城の真上とジンのいる場所に魔法陣が出現した。そして、
「光と闇の合成魔法、今ここに!! カオスアルテマ!!」
魔法陣から黒いエネルギー波が発射された。それはまっすぐジンに降り注ぐ。
「!! しまっ.......」
エネルギー波はジンのいた場所に命中した。
「やったか.....。」
「えぇ、あれをまともに受けては助からないわ。」
「やったんだ......。レオ......、後でちゃんと......、この子のこと......、説明....して.....よね.......。」
ドサッ
パーネが倒れた。
「パーネ!! なんでお前はそう無茶すんだよ.....。」
全てが終った。そう思っていた。だが、終わっていなかった。
「「!! 」」
二人は感じた。禍々しい魔力を。それは、ジンの物だった。魔界城の上にジンがいた。
「ハァ.......ハァ........今のは死ぬかと思ったぜ....。だが!!俺の方が魔力は上だったようだな、リーレ。」
「そんな!!」
「もうこんな世界はどうでもいい!俺と一緒に消えちまえ!!」
ジンはこの世界ごと自滅する気らしい。
「全てを喰らえ!! 破壊の剣、暗黒剣。」
ジンが出現された剣の大きさは、この世界の中心部分に届くほどの大きさだった。
「........レオ、ゴメン。もう私に、あいつを止める力は残ってない。私達、負けたんだ.....。」
「お前が諦めてどうすんだよ!!俺はやる。可能性が0.1%でもある限り諦めない。お前の......、リーレの為ならどんな高い壁だって乗り越えてみせる!!」その時!!
ピカァァァ......
レオの剣が光った。その剣からは凄い力を感じた。レオの諦めない気持ちに応えたのだろう。
「これは!!すげぇ力を感じる。俺は自分の剣を信じるぜ!!」
「待って!レオ!今度は私から言うわ。約束して?絶対に生きて帰って来るって。この戦争を終わらせるって。
そして、私を幸せにするって!!」
「.......。あぁ。全部、約束する。絶対だ。」
「うん!待ってるからね。」
「行ってくる!」
レオは詠唱を始めた。
「魔を祓い、絶望から人々を救ってきた剣、勾太刀よ。今、我に力を与え、魔を消しされ!!」
ジンは詠唱に気づき、レオの方を向いた。
「貴様から殺してやる。」
レオは飛んだ。ジンに突っ込む。
「天地に邪悪の花は無し!! 朽ちろ、勾太刀!!」
「そんな力では俺を倒すことはできん!!これで終わりだ!!
漆黒一閃!!」
剣同士が交差し、眩い閃光を放った。
何か聞こえる......。自分の名前を、誰かが呼んでる。
「.........ォ..........オ........レオ!!」
呼んでいたのはリーレだった。
「う.......、リ、リーレ。俺は、勝ったのか?」
「うん。戦争は終わって、天使と悪魔はこれから力を合わせて国を作る事になったの。全部レオのおかげよ。ありがとう。」
「いや、俺だけの力では勝てなかった。リーレやパーネがいたから勝てたんだ。それより、ここは?」
「魔界の病院よ。レオは丸1日寝てたの。........。ねぇ、最後の約束覚えてる?」
レオはリーレを抱き寄せて、
「あぁ。リーレを幸せにしたい。結婚しよう。」
「うん、うん!!私もレオと一緒になりたい。」
レオとリーレは再び、唇を重ねた。
そして結婚式.....。
「二人を別つまで愛し続ける事を......誓いますか?」
「誓います。」
「この者を夫とし、愛し続ける事を......誓いますか?」
「誓います。」
「では、誓いの口づけを。」
レオとリーレはキスをした。
その瞬間、盛大な拍手が送られた。
結婚式が終った後、二人は天界の野原に行った。
「レオ、私を選んでくれてありがとう。」
「いや、俺の方こそありがとな。頼りない俺だけどこれからも頑張っていこうな。」
「うん!........ねぇ、レオ。一つ、聞いていい?」
「ん?」
「これからも私の事を守ってくれますか?」
レオは優しく微笑んで、
「あぁ。守ってやる。これからずっと、ずっと......。」
俺はあの時、リーレに会ったあの瞬間から、リーレを守ってやれるか心配だった。違うんだ。守ってやれるかじゃない......。守らなきゃいけないんだ!リーレだけじゃない、この世界全てを守ってみせる!!
レオはリーレを強く、優しく抱き締めて心に深く誓った......。
コメント