君の為なら [6]  作:因幡ノ白兎

リーレの術式が消えた.....。これは、リーレの身に何かが起きたに違いない。
天使は悪魔との戦争の事を考えているだろう。だが、レオは違った。一刻も早くリーレに会いたい気持ちでいっぱいだった。
(待ってろよ、リーレ。今すぐに行くからな。)
戦争が始まろうとしていた時、天界の長がこう言った。
「皆の者!!時は満ちた.....。今日で全てが終わる。我々の勝利でだ!!武器を持て!!魔界を攻め落とすぞ!!」
『おーーーー!!!』
天使達が自分達の武器を召喚している。レオもすぐに始めた。
「古き魂が宿りし剣よ......、今ここに現れよ!! 太古の剣、勾太刀。」
「レオの武器カッコイイ!!よーし、私も。」
と、パーネが言い
「我を護りし大いなる剣よ、今ここに!! 聖双剣、バルディッシュ。」
そして、魔界城に出陣した。
天使軍の強さは悪魔軍の力を遥かに超えていた。が、数で負けている為、思うように進めない。
すると、長がレオとパーネに向かってこう叫んだ。
「お前達は魔界城に乗り込め!ここは我らに任せて、頭を倒してこい!!」
「「はい!!」」
レオとパーネは魔界城に乗り込んだ。
「別れ道だ。どうする、レオ?」
「ここからは別れて進もう。」
「分かった。」
レオは右にパーネは左に進んだ。
(リーレ.....。何処にいるんだ、リーレ.....。)
バタンッ!!
レオはドアを開けた。
そこにはリーレが立っていた。
「リーレ!!無事だったんだな!早くここから逃げ......」
そこでレオは言葉を止めた。
「...........違う。リーレの魔力じゃない。」
レオは数歩近づいて気づいた。リーレの魔力が邪悪な物になっていることを。
すると、
「よく気づいたね。天使の分際で。」
「てめぇは、誰だ....。」
「僕かい?僕はジン。そこにいるリーレの兄さ。」
「なんだと!?こいつの言ってることは本当なのか、リーレ....。」
「無駄だ。リーレは僕が洗脳している。お前ここで死ぬ。リーレの手によって。」
「!!」
「殺れ。」
「.......はい。」
(に、にげ......て........、逃げて........レオ....。)
レオにはリーレの心の声が届いていた。
「リーレ.....。」


リーレがレオを攻撃してしばらく経つ。レオも、体力の限界だった。
「ハァ.......ハァ.......くっ!!」
(何か、何か方法があるはずだ。リーレの心を取り戻す方法が。)
「大夫疲れてるようだな。そろそろ、楽にしてやろう。リーレ!!」
リーレは魔力を溜めている。レオに阻止する力は残っていない。避けても次がくる。
(くそっ!!こんな事になるなら、リーレに会っていなければ良かった。リーレを助けなければ良かった。リーレを好きにならなければ良かった。........。リーレを、好きに.....。リーレは俺の事を......。そうか....!もしかしたら阻止出来るかもしれない。リーレ.....。俺は、お前を取り戻す!!)
リーレは溜めていたエネルギー弾を放った。レオはそれを避けてリーレに突っ込んだ。
「貴様、何をする気だ。........っな!!」
ジンは驚いていた。
レオは、リーレと唇を重ねていたからだ。リーレの体は動かないが、泣いていた。悲し涙ではない。嬉しいのだ。自分の為にここまでしてくれるから嬉しいのだ。
「貴様......。リーレから離れろー!!!!!!」
ジンはエネルギー弾を放った。
レオはリーレを抱えて避ける。着地してもう一発くるのは分かっていた。だが、レオの体も限界が来た。急に体が動かなくなってしまった。
「やべぇ......、こんな時に......。」
レオの予想通り、もう一発飛んで来た。レオは、死を覚悟した。だが、誰かに押され、エネルギー弾の軌道から外れた。
押したのは.....、パーネだった。エネルギー弾はパーネの体を貫通した。
「パーネ!!!!」
「レオ......、良かった.....、無事だね......。」
「パーネ!!なんで、なんで俺なんかをかばったんだよ!!」
「だって......、レオが傷つく姿なんて.....、見たくないもん.....。」
「だからって......、だからってお前が傷ついて俺が喜ぶわけないだろう!!」
「ありがとう......。私も一度、レオとキス、したかったなぁ.......。」
ガクッ.... パーネは気を失った。
「!! パーネ!!」
リーレは正気に戻っていた。
「レオ......。」「リーレ、パーネを回復させてくれ.....。」
「うん。」
「俺は、あのふざけた野郎をブチ殺してくる。」
レオの怒りは、もう誰にも止められない。


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