君の為なら [5] 作:因幡ノ白兎
帰って来てしまった。折角逃げたのに、なぜ帰って来てしまったのだろう。リーレの答えは決まっていた。自分が初めて好きになった人の為、
自分自身の為だからだ。リーレが魔界に着いた直後、魔界の城、魔界城から悪魔達が飛んで来た。
「待ッテイタゾ生贄......。サァ、共ニ魔界城ニ来テモラオウカ。」
「お誘いありがとう。でも遠慮するわ。私一人で行けるから。大人しく通して.....くれないわよね。」
「御名答.....。カカレー!!」
悪魔達がリーレに襲い掛かろうとした。が、リーレの周りには強力なバリアがはってあった。
「ナ、ナニ!?バリアダト!?」
リーレは右手を挙げると剣が現れた。
「魔界の剣よ。この物共を消しされ!!」
剣を一太刀振った。すると悪魔が跡形もなく消え去った。
「流石魔界の剣、魔剣 ダークウィスパード。凄い力ね。おっと、こうしちゃいられない。急がなきゃ。」
リーレは魔界城に突入していった。大体の悪魔達は魔剣で葬った。そして、最上階に着いた。その時、男の声がした。
「よくここまで来たね、リーレ.....。」
「私の名前を気安く呼ばないでくれない?ジン.....。いえ、兄さん。」
「調子に乗るのもそこまでにしとけよ、生贄風情が....。魔剣を持ったからなんだ....。それで俺を殺せるとでも?」
「えぇ。出来るわよ!!」
リーレは魔剣を振った。だが、そこにはジンの姿はなかった。
「避けられた!?あいつは何所!?」
「俺ならここさ....。」
「し、しまっ.......!!」
ジンはリーレの後ろにいた。更になにやらするつもりらしい。
「闇の衝撃波.......、グラビドンバースト!!」
強烈な衝撃波がリーレを襲い、リーレの体を吹き飛ばした。リーレは体を強く壁にぶつけた。
「ぐっ.......!!こんなはずじゃ.......なかったのに........。」
ドサッ....
リーレは気を失った。
頭が痛い。いや、体全体が痛い。自分が痛がってるという事は、レオも.....。そんな事を考えながら目を覚ました。
「ようやく目を覚ましたか、リーレ。」
ジンが目の前に立っている。どうやら、リーレはバインドという魔力の拘束器具に拘束されているようだ。
(......ゴメン、レオ....。今度は、約束守れないや.....。)
「気を失っている時に色々調べさせてもらったよ。例えば、お前が共有の術式を使っている事とか。」
「!!」
「共有の術式は両者の気持ちが同じでないと使えない。つまり、お前は好きになったんだろ?レオという青年を。」
「レオは関係ない!!手を出すな!!」
「心配するな。俺は手を出さない。」
リーレは少しほっとした。だが、つかの間だった。
「奴の命を奪うのは、お前自身だ.....。」
そう言ってジンはリーレの術式を破壊しようとした。
「その為にはこれが邪魔だ、消させてもらうぞ。」
「や、やめて!!」パキ......
「お願い......それを壊したら激痛が走ってしまう.....」パキ....パキ.....
(レオ.....。ゴメン.......ね........。)バキンッ!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
リーレの体に激痛が走った。そして同時にレオにも.....。
天界
(リーレ......。無事だろうか.....。明日は戦争に行かなきゃならないんだ......。)
「--------!!」体に激痛が走った。
「ぐっ!!ぐうぁぁぁぁぁぁ!!!」
いた場所が悪かった。学校で術式がバレたらマズイ。
近くにいたパーネが人一倍早く心配した。
「レオ!?大丈夫、レオ!?」
パーネの言葉は届いていない。それは、術式が消えたからだ。
(嘘......だろ.....?術式が消えたなんて.......。)
そんな事が起きた次の日。
「レオ......。大丈夫?やっぱり、休んでた方が.....。」
パーネは心配してくれてる。
「大丈夫だ.....。それに、どうしても行かなきゃいけないんだ。」
「そっか.....。じゃあ止めない。」
「すまない、パーネ。」
そして、天使達は天界から出陣していった。
(待ってろよ、リーレ......。今から俺が、助けに行くからな!!)
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