君の為なら [4] 作:因幡ノ白兎
リーレが間の世界に行ってから2年と半年が過ぎた。
間の世界の扉が突然開いた。中からは、この2年と半年で成長したリーレがいた。
「ただいま。君との約束、守ったよ。」
「お帰り。無事で良かった。」
リーレの成長は魔力だけじゃなく、リーレ自体が少し大人びていた。
リーレ同様、レオも強くなっている。
「帰って来て悪いんだけど、少し休ませてくれない?」
「あぁ、勿論いいさ。」
リーレは疲労が溜まっていたので休む事にした。
3時間後
「ありがとう。そろそろ行くね。」
「行くね、ってお前1人でか!?」
「うん。君には世話になったし、あまり迷惑はかけられない。」
リーレの表情が少し暗くなった。
「そんな!!俺は迷惑なんて.....。それに、お前は命を狙われてるんだろ?だったら尚更だ!」
するとリーレが、
「君には関係ない......。関わらせたくない!!」
少し怒鳴ったような声を上げた。
「ゴメン......。でも、君の為に言ったの。魔界に来たら君の命が危ない.....。もし君が死んで、私が生き残っても私には帰る場所がない....。
だから.......ゴメン!!」
リーレは少し泣いていた。レオを失いたくない気持ちでいっぱいなんだろう。リーレはレオの部屋を出ようとした。その時!!
ガシッ!!
リーレは目を丸くした。レオに抱きつかれたからだ。
「関係なくない!!俺は、お前を守りたい!!お前だけを、失いたくない!!前に話した言い伝え、悪魔が天使を愛したこと。他の奴だったらありえない事だと思う。でも、あれは本当に愛してたと俺は思う。それは、俺はお前の事が好きだからだ!!」
自分の事が.......好き.....。リーレは理解するのに時間がかかった。自分の事を気にかける人がいなかったからだ。リーレの目から自然に涙がこぼれた。拭いても拭いても溢れてくる程、涙が流れた。
すると、リーレはレオから一度離れた。そして、自分からレオに抱きついた。レオもリーレを強く抱きしめた。
「お前は......俺の事を......」
言葉が止まった、いや、止められた。レオの口にリーレの指が触れていた。
「私は......『お前』って名前じゃない...。リーレって呼んで......レオ....。」
「リ、リーレ.....。」
「......うん。私もレオの事.....好きだよ.....。」
リーレはレオから離れ、こう言った。
「私の痛み、苦しみ、悲しみ、喜びを共有する覚悟はある?」
「あぁ。それで、リーレの事を守れるなら。」
「ありがとう。じゃあ、共有できるようにするね。」
そう言って、リーレはレオの体に手を置いた。そして、術式を唱え始めた。
「我を大切に想う気持ちに呪いをかける。我が痛み、苦しみ、悲しみ、喜び、全ての感覚を共有したまえ!!」
レオの体に共有の術式がかけられた。
「これで私に痛みが走れば、レオにも痛みが走るわ。」
「かなりの激痛が走ったらすぐに行くからな。」
「うん。んじゃ、行くね。」
「絶対に無茶すんなよ。」
「ありがとう。......レオ。」
リーレは魔界の扉、魔界門を出現させ、その中に入っていった。
リーレは一度こっちを振り向いた。逃げだした魔界に帰るという顔じゃなかった。
リーレは、笑っていた。レオに笑顔を見してから魔界の闇に消えていった.....。
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