LOSS 作:POWERS
目が覚めた、瞳に写る光景が鮮明に頭の中に映し出される。ここは何処だろうか?俺は一体こんな所で何をしているのだろう。どうやって此処まできたのか、この場所に来た記憶が無い。ましてや自分が今まで何をしていたのかさえも、思い出せない状況にある。
「・・・・」
普通人であれば、この状況に混乱しパニックを起こすだろう。しかし、今の俺は落ち着いている。理由は分からないが、危険な場所ではないということを本能という奴で分かっているらしい。
目の前の光景というのは、汚れが全く無い白く輝いている壁だ。光源が見当たらないが部屋は真っ白に染まり、眩しい。扉も確認できない、何処かの監禁部屋だろうか。そうであれば何故俺がこんなところに・・・・
怜慈はだんだん不安になってきた。家に帰れるだろうか、家族や友人は、俺がここに居ることを知っているのだろうか。そういったことが思考回路を支配していく。
「彩・・・・」
不意に彼女の名前が口から出てくる。彩は今頃どうしているんだろう、俺のような事になっていなければいいが。怜慈と彩は付き合ってから今年で3年になる。中学3年の終わりから付き合っている。色々なことがあったが、二人は決して別れることは無く、通っている高校でも有名なカップルである。
二人共々頭がよく、ルックスも上位に入るほどで、幼馴染という環境に生きてきた。彩は、小学校から怜慈のことを意識していたが、怜慈は恋愛などには全く興味が無かったので、気が付いたのは告白されたときだった。
彩との思い出が脳裏に映るが、現実に引き戻される。まず自分はこの状況をどうにかしなければいけない。この部屋から出ないといけないのだ。怜慈は重い腰を上げた。部屋を見渡す、本当に真っ白で何も無い。壁に触れてみるとサラサラしている。怜慈は歩きながら考えた。此処は何かの実験室だろうか、
もしそうならば俺が実験対象になるが・・・・この部屋には監視カメラのようなものがない。まさか実験期間ずっと俺に付きっ切りというのは考えられないだろう。そう考えると実験室という考えは無くなる。だとしたら此処は・・・・?
その時、部屋中にノイズ音が響いた。怜慈は思わず耳を防ぐ。
「なんだよ・・・・」
騒音が数秒間なっていたが、収まった。そして後から、とても低い声が怜慈に語りかけてきた。
「綾川怜慈くん、おはよう・・・よく眠れたかな?時間が無いので率直に言うが、君には今からゲームをしてもらう。ゲームの内容は簡単だ、脱出すればいい。それだけだ。しかし舞台はこの部屋じゃない、此処は言うなれば待合室のようなものだ。」
「おい!どういうことだ、家に帰してくれ!!脱出ゲーム?ふざけるなよ、ひとりでやってろ!!」
「今君は太平洋上に浮かんでいる豪華客船の無数にある部屋の一室だ。ちなみにその部屋はもともとあるわけでなく、私が作らせた。この部屋から出たら二度と入れないから風景を楽しんでいるといい。さて此処からは君にはゲームに必要な情報を提供しよう。一度しか言わないからよく聴いておくことだ。」
おそらくこれは一方通行の会話だ。相手には俺の声が聞こえていないのだろう。それに嘘でもなさそうだ、かすかだが揺れているのが分かる。ここはおとなしく聴いていよう。
「まず君は約10分後にこの部屋から出てもらう、そしてまずは中央ロビーに向かいたまえ。そこで色々な情報がまた手に入り後々役立つだろう。さて肝心な脱出法だが、この船の地下のどかに潜水艦がある。そこに通じる部屋を見つけていってもらいたい。部屋は無数にあるといったが、潜水艦につながる部屋には
私がローマ数字で番号を書いてある。通じる扉は全部で8つ。さて此処からが需要だ。脱出は制限時間内で行ってもらう。時間は9時間与えよう。中央ロビーに時計がある。一時間ごとにその時計が鐘を鳴らすように設定してある。よく回数を数えて時間を計ることだ。あと君達の左腕にある時計のような装置は
通じる扉を開けるときに必要になる。よく考えて使うように、無理にその装置をのけようとすると、胃の中にある小型爆弾が作動し身体を吹き飛ばすから注意するように。そうだ言い忘れていたが、制限時間内に脱出できなかったらこの豪華客船と共に海に沈んでもらう。幸運を祈る・・・」
そこで音が途切れた。胃の中の小型爆弾?そんな馬鹿な。そのことを思うと急に気持ち悪くなってくる。怜慈はそれをもみ消すかのように情報を頭の中で整理し始めた。脱出の時間は9時間、通じる扉は8つ。それとこの装置、扉を開ける際に必要だとか言ってたな。一体何に使うんだろう。
「くそ、どうして俺が・・・・・」
怜慈はそのまま座り込んで何も考えなくなった。そのまま時間だけが過ぎていく。
そして、何かの軋む音が聞こえたかと思うと、目の前の壁が無くなっており、豪華客船ならでわの綺麗な絨毯と、落ち着いた木の壁、その上にぶら下がった小さなシャンデリアが一定の距離ごとにおかれた、廊下が向こうへと続いていた。
「・・・・・」
怜慈は、立ち上がってその部屋をでた。
「まずは中央ロビーか・・・・・」
重い足取りで、ただその廊下を怜慈は歩いていく。
To be countned
コメント
POWERS 2011/08/06 00:47
久しぶりに書いた小説
タイトルは以前投稿していたものと同じですが
全く内容は違います
表現力なくてごめんなさいorz
コメントや感想、駄目だしでもいいのでしてくれればありがたいです