Fear〜中盤〜(5)  作:癸 洲亜

「信じてくれないの?」
「うん。どんなに言っても」
 綸の両親である康と春は、綸がこのことを言っても、
「そうか? 変わってないと思うぞ?」
「気のせいよ」
 そうとだけ言って、二人とも綸の言うことを信じなかった。
「まあそんなことより、勉強会なんだから早く勉強しようよ」
 この話をするのが嫌になったのか、綸は細と諷稀にそう言った。
 その後、三人は午後三時ほどまで勉強を続けた。勉強を終え、細と諷稀は自分の家へ帰っていった。綸は二人が帰ったあと、自分の部屋でのんびりと時間を過ごした。
 そして午後六時過ぎ、日が傾き空が赤らんでいる頃、綸は居間で一人テレビを見ていた。
「あー……暇」
 テレビを見ながら、綸は小さく呟く。そして、自分の座っているソファに身を沈めながら壁に掛かっている時計に目を向ける。時計は、六時半を示している。
「……遅い」
 綸は時計に向けていた目をテレビに戻し、またしても小さく不満げに呟いた。本来ならばこの時間には既に、康と春が帰宅している。だが、今日はいつまで待っても帰ってこず、その気配すら無い。
(何かあったのかな)
 綸がそう思いながら心配し始めた時、家の電話が鳴った。綸はソファに沈めていた体をだるそうに動かし、電話に出る。
「はいもしもし、調原です」
『あ、綸か? 父さんだ』
 電話の相手は、康であった。
「お父さんか。わざわざ家に電話してくるなんて、珍しいね?」
『ちょっと急ぎでお前に言わなきゃいけないことがあってな。綸、今日はお父さん家に帰られないから』
「……へえ、そんなに仕事忙しいの?」
 康の言葉に少々驚きながら、綸は言う。
『ああ。あと、さっき電話で伝えられたんだが、今日は母さんも家に帰れないみたいなんだ』
「え、お母さんも!?」
『そうなんだ。だから今日は家にいるのが綸だけになるんだが……』
「いきなりそんなこと言われても……」
『とりあえず、父さんも母さんも明日の朝には帰れるようにするから。じゃあな』
「え、あ、ちょっとお父さ――」
 綸は急いで呼びかけたが間に合わず、電話は既に切れていた。
「はあ、仕方ないか」
 綸はそう言い受話器を戻す。
 綸はその後一人でやるべき最低限のことをやり、暇な時間を紛らわした。だが、ついにやることが無くなるとあまりにも暇になったため、綸は午後十時になる前に就寝した。


 真夜中。
 生けるものすべてが眠りにつき辺りが静まり返った頃、綸は何かに呼び起こされたように眠りから覚めた。
「ん……」
 綸は寝起きの重たい体を動かして、枕元近くに置いてある目覚まし時計を見た。
 ちょうど、午前一時半。


コメント

3点 雨月千夜 2011/05/13 18:05
何かあるから逃げて綸ちゃん!!
それはそうと、これも死んだりしませんよ・・・ね?

癸 洲亜 2011/05/13 20:19
コメント、点数ありがとうございます!
あ、大丈夫ですよ〜^^ これは、人は死んだりいたしませんからww安心してお読みくださいw

3点 みやび 2011/05/14 15:47
綸ちゃんまさかの1人っ!!危険危険っ!
ってか『生けるものすべて・・・』ってやつかっけぇw

次楽しみ♪ドキドキww

3点 沖田 2011/05/18 21:40
一人は危ないっ!w一人だと喋っても両親信じてくれないよっ!

慎さん→いえいえ、うちも慎さん見つからなかったですしww

3点 2011/05/21 23:54
怖wwwwwwwwwwwwwww続きが気になるなww


んと、悪い。このまま中途半端な関係を続けても、洲亜の為にも俺の為にもならないと、俺は思う。ってのは元々ネットで知り合った中だからな;だからもう小説にコメントはしない、、いや、読むけど!続き気になるだろ!、…とにかく自分勝手で本当に御免。何かあればコメント返してくれ、チャットにでもいくからな;

癸 洲亜 2011/05/22 17:32
慎君へ>んじゃあこうしましょう。私達、友達でいましょう^^こういうはっきりした関係であれば、特に支障は無いでしょう?私は君と友達でいたいですし。慎君が良ければ、ですが^^
あ、あと君のコメント見るのは私の楽しみの一つですし、コメントは書いてくれませんか?嫌ならいいですが。
はい、私の言いたいことはこれらだけです。何かあれば、またコメントしてください^^

3点 2011/06/25 23:46
うじうじして何度もこのページ開いたのにコメントできなくて悪い。

わかった、ありがとな。
小説楽しみにしてるな


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